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地域の担い手となって活躍されている外国人住民がいます。今日は、消防団で活躍したノウチ・セザールさんを紹介します。

消防団は各市町に設置されており、火災や風水害などの災害発生時には、消防隊員と協力して消火活動や災害対応を行います。平常時には、防災訓練、応急手当の指導、防災啓発活動等を行っています。消防団員は普段は他の職業や学業をもつ非常勤特別職の地方公務員で、災害等の時に、自宅や職場から出動します。

消防団員は地域の住民であることが多いので、地元のことをよく知っていて、緊急事態にすぐ出動でき、消防隊やレスキュー隊が到着するまでの応急手当をすることもできます。

平成２８年四日市市消防出初式で、日本に２０年以上暮らしているペルー国籍のノウチ・セザールさんが感謝状を授与されました。セザールさんは、３年以上消防団員として訓練を受けながら、地域のために一生懸命活動しました。

感謝状は、以前所属していた消防団の分団長から手渡されました。

分団長の市川さんに、消防団の活動について教えていただきました。

[四日市市消防団　下野分団長　市川 増生さん]

「消防団員には、火災が起きたらその消火活動、あるいは地域の防災活動、防災訓練、普通救命講習会等、いろいろな防災に関することに参加してもらいます。」

消防団員になるためには何をすればいいですか。

「地区で人数が限られておりますので、その人数が欠員になった場合に各町の自治会長さんに申し出て、それから私のところへ申し込んでいただくというような手続きがあります。」

消防団の大切さは何ですか。

「地域に対する防災訓練の実施と、普通救命講習を受けて地域の皆さんを助けるということです。」

ノウチ・セザールさんからは、消防団に入ったきっかけと、今回の表彰について話してもらいました。日本に住んでいる外国人が地域で活動する大切さについても話していただきました。

「四日市市で暮らしていた頃に、住んでいた地域の県営住宅には高齢者が多く、若者が少なかったです。当時は両親と暮らしていて、ごみの分別、掃除やパトロールなどの地域行事に参加していました。いつもその様子を見ていた組長さんは、ある日家を訪ねてきて、消防団に私を入団させてもらえないかと両親に相談しました。消防団員になって地域を守る役割を果たすことは、誰にでもできることではないので、自治会は責任感がある人を必要としていました。私たちも地域の一員でしたので、私は喜んでその役を引き受けました。」

どんな訓練を受けていましたか。

「消防団員の訓練はとても興味深いです。毎年各地域の消防団員が大会に参加していました。大会で賞を取るために、約一か月前からほぼ毎日、大会の練習をします。速さと技術の正確さを競い合いますので、私たちは各自で練習を繰り返し、速さや正確さとともにメンバー同士の連携を常に練習していました。」

消防団に所属していた当時、緊急事態に出動したことはありましたか。

「４年間配属していた当時に５回火事がありました。また、ある日私が電車に乗っていたら、一人の女性が突然倒れて、口から泡を吹いていて、発作を起こしている様子でした。消防署で受けていた訓練内容を思い出し、発作を起こしている方が舌を噛んでしまったり、窒息したりしないように、口にハンカチを挟みました。次の駅に着いた時には、すぐに救急車も来てくれました。後から、発作を起こした女性の命に別状はなく、回復していたことを、その日に同じ電車に乗っていた方々から聞きました。

その出来事の翌日には、電車に乗った瞬間に、多くの方々から拍手をしてもらい、初めてでしたので、忘れられない経験でした。消防団に所属していたことを誇りに思い感謝しています。

今日、素敵な感謝状を渡されたときにはどんな気持ちでしたか。

「この感謝の気持ちは言葉で表せないぐらいです。四日市市長の印が押されている感謝状をいただけるのは光栄で、とても嬉しいです。少しでも力になれて良かったです。」

消防団の活動について、日本在住の外国人へメッセージをいただけますか。

「はい、もちろんです。消防団の活動はとても興味深いし、日本人住民だけではなく、私たちの家族、友人や近くにいる人々のためにもなります。帰国したとしても、役に立ちます。外国人住民の若者たちに伝えたいメッセージは、私たちはもう、日本に来て、お金を貯金して、帰国後母国で何かを始める出稼ぎのコミュニティではなくなりました。現在の外国人コミュニティは長年日本に住んでいます。日本では仕事、敬意、チャンスを与えてもらったので、今度はその恩返しをする立場になりました。私たちはもう観光客ではなくて、日本人と同様に暮らしているため、同じ社会の一員でもあります。ありがとうございます。」